白馬村に住む生き物・昆虫たち。
ヤマニーカワニーオリジナル図鑑
ミヤマクワガタ
気温に対してせんさい(繊細)
成虫は白馬村では昼間の方が活動的です。西日本では深夜に活動的になるものが多い。
気温変化に敏感でその状況に応じて昼行性と夜行性の両面の生態をもっている。
発見場所も時間も限定するので発見が難しい甲虫である。
成虫の大きさ
白馬村の成虫の平均サイズ
♂:約3.3cm~7.0cm
♀:約3.0cm~5.3cm
卵・成虫、幼虫の食性
樹液は白馬村ではコナラやミズナラの樹液に集まる事が多い、ほかのヤナギやハンノキなどの発酵が進行していない樹液が好きなようだ。
完全変態のミヤマクワガタはさなぎから羽化してから、1本の樹木の幹をいったりきたり、上下しながらトコトコ歩いてる。
7月前半、8月下旬。 オスは縄張り意識があるのか巡回していて気がたっている様に顎でで威嚇行動が著しい。
ガイド中にも身体が綺麗なミヤマクワガタの個体がすぐに交尾をしていたり、縄張り行動をしている所がみることがある。
昼間に高温だったり、紫外線が強い日が続くとミヤマは一期に夜行性に転じる傾向があると思われる。
メスは夜行性の個体が多いが、白馬村では涼しい木陰の樹液を一日中吸っている光景もよくみる事が出来る。成虫は1カ月から2カ月で死にます。
時期6月下旬~8月前半・8月20日前後~9月半ば、お盆時期の暑さのピークを避けて、土の中からはじめてでてくる個体もいる。
9月の後半に卵から幼虫へ。幼虫期間1年~2年。成虫は産卵から2年とされる。温暖な気候では1年で成虫となるものもいる。また1年で成虫になってもその夏には土の中にいて初夏にでてくるものもいる。
幼虫は水はけの良い環境を好み、古い腐葉土もしくは発酵が最終段階に入った様な土を好む。
越冬は枯れた切り株の割れ目ですごしたりすることも発表されている。ミヤマクワガタという高山植物も存在する。
ノコギリクワガタ
時期
6月後半~7月20日前後
8月半ば~9月後半
お盆期は深夜以外は発見率は落ちる。
大きさ
♂:約4.5cm~6.5cm
♀:約3cm~5cm
成虫の好きな樹液
コナラ・ハンノキ・ヤナギ、発酵樹液と液体樹液の両方にいる。警戒心が強いので高いところか物陰に潜みながら樹液をなめる。
成虫は1カ月から2カ月で死にます。
成虫の行動
大きな立派な顎(あご)をもったノコギリクワガタでも虫同士の争いには強気ですが、天敵(鳥・ヒト)などの振動などには臆病で静かな環境を好む。飼っていると慣れてきて大胆になることもあるが自然界では、虫同士一か所に固まって隠れていたり、ライトを照らしただけでギシ(義死)死んだフリをする事が多いです。
大きな顎の水牛型のオスとコンパス型の小さな顎のオスの2タイプ成虫が存在するのは幼虫の時の栄養価でバランスでそうなるという事だ。
ガイド中でも発見できるときは、ノコギリクワガタばっかり捕れる事がある。推測であるが、一か所に群れて隠れていて環境が整えばお互いに反応して活動している様に感じる。
メスは行動範囲が広いのであちこちで発見できるが、オスはだいたい決まったエリアでしか白馬村の場合は発見できない。 安曇野市では広範囲でオスもたくさん発見できる。
白馬村以外の長野県エリアでは10月~11月ノコギリクワガタを発見した事がなんどもある。
そのシーズンにもよるがあまりにも猛暑だったり冷夏だったりすると、成虫は晩秋にでてきているシーズンでそういった遅めの季節にでてくる事があるのではないかと考えている。夏休み期間だけが甲虫のシーズンではない事は承知です。
産卵から成虫までの生い立ち
幼虫は朽ち木などを食べ1令幼虫~2令幼虫で卵から生まれてから1年間は過ごす。3令幼虫で2年目を過ごし3年目に(卵から2年で)さなぎ期間が一カ月で成虫となる。(例外も多いらしい)
クロシマノコギリクワガタ・クチノエラブノコギリクワガタ・アマミノコゴリクワガタ・トカラノコギリクワガタ・トクノシマノコギリクワガタ・ハチジョウノコギリクワガタ・ミシマイオウノコギリクワガタ・ヤエヤマノコギリクワガタ
国内にはこういった種類のノコギリクワガタが生息している。捕獲禁止になっている種類も多い。一度探しに行ってみよう。
カブトムシ
時期
7月中旬~8月後半
大きさ
♂:約4.5cm~6.5cm
♀:約3cm~5.5cm
成虫の好きな樹液
コナラ・ミズナラ・ハンノキ・ヤナギ(白馬村にはクヌギありません)発酵樹液と液体樹液の両方にいる。
成虫は約1カ月で死ぬ。メスは産卵の為1カ月半。交尾できないオスは11月まで生きるときがある。
成虫の行動
白馬村では昔はほぼカブトムシは居なかった様です。80歳ぐらいの方は誰もが「ハサミ(クワガタ)しかおらんかったズラ」とおっしゃいます。
20年前にもちらほらしか発見できませんでした。白馬村の平均気温が低いのでカブトムシにとっては適温ではないのでしょう。
白馬村は冬季は豪雪地帯で-15度まで下がる事も多々あります。環境変化に対応できない温暖を好むカブトムシは堆肥や発酵の強い動物の糞尿などにメスが産卵しないと低地の里山の畑の堆肥や雑木林の落ち葉の堆積した場所では生き残る事が出来ないのでしょう。最近では温暖化と小雪で生き延びる幼虫がいるのでしょう。年々増加しています。
さなぎからかえった成虫は体をかわかし、エサ場を探しにでかける。飛行能力が高いカブトムシは約1kmの行動範囲の中で、オスはエサ場のそばで生息し、メスは昼になると生まれた土にもどるとされている。交尾を終えたメスは一週間から10日ほど栄養価を高め、10日ほど土の中で体力を温存しならが産卵する。卵は15~25個産む。
暖かい地域や果樹園育ちのカブトムシのメスはさらに多くの卵を産む。オスはメスよりだいたい早く死ぬ。
コクワガタ
時期
6月中旬~8月後半、気温が25度~30度の夜はうろうろする。季節問わない。
大きさ
♂:約3.0cm~5.3cm
♀:約3.0cm~4.5cm
成虫の好きな樹液
コナラ ミズナラ ヤナギ ハンノキ 。。。。好みはあるのでしょうか?その分個体数も多いのでしょう。
白馬村ではコクワガタは平均の大きさよりも大きく育っていると感じます。暑い地域のコクワガタは5月後半に羽化するものもいるぐらいですが、こちらではミヤマクワガタがでてきたその直後ぐらいに、フレッシュな個体のものを見かける、その分幼虫の時期が長く比較的大きく育つと考えられます。
こちらでは、樹液を吸いにくるというより隠れているところを探すといった感じだ。夜にガイド中に発見しても、動きが早く、落下したりして見失う事が多い。3年成虫でいます。冬の気温が厳しい白馬村では太い老木の洞や割れ目などに入って、越冬するものが多いと感じます。暖かい地域では木の根元の水分を吸いながら越冬するものが多いが、白馬村だと凍ってしまうのか少し高い場所にいると推測します。
アカアシクワガタ
時期
7月中旬~9月前半 気温が20度~25度の夜はうろうろする。
大きさ
♂:約3.0cm~5.5cm
♀:約3.0cm~4.5cm
成虫の好きな樹液
コナラ ミズナラ ヤナギ ハンノキ 。。。樹液を吸う目的ではなく、桜の老木に集まっていることもよくある。桜の樹液を吸っているところは見た事は無い。
写真は6月の雨上がりに発見した写真。ツヤツヤだ。基本夜に行動する傾向。コクワガタより警戒心が高いと感じられる。アカアシが捕れる時はミヤマクワガタも行動している確率が高い。名前の通り足が赤いのでアカアシクワガタ。腹も赤い。
行動パターンが読みずらいので、探すのは難しいです。発見できるときは、ポイント移動しても発見できることも多い。
スジクワガタ
時期
6月中旬~9月後半 気温が22度~30度の夜はうろうろする。
季節問わない。
大きさ
♂:約3.0cm~4.0cm
♀:約3.0cm~3.5cm
成虫の好きな樹液
コナラ・ミズナラ・ヤナギ・ハンノキ・シラカバ
根の水分も吸って過ごす。
夜行性。あまり表だって活動的ではなく、気に入った木に住むといった感じで、樹木の根元の涼しくある程度湿度があるところにいる。
ほかの大きな甲虫やハチがいないところでは樹液に何匹も群がっている。外羽には縦にスジが入っていることろからスジクワガタという名前だメスのスジの方がはっきりとしたラインが入っている。コクワガタに似ているので一瞬同定に迷う事もあります。オスはあごの先の形の違いでわかる。メスはスジの有無で判断する。オオクワガタのようなツヤツヤな肌をしているので、発見した時の喜びも小さいけど嬉しさがあります。かわいいので女の子に人気の虫。
ヒメオオクワガタ
時期
6月中旬~9月後半、気温が20度~30度
大きさ
♂:約4.0cm~6.0cm
♀:約3.0cm~5.0cm
成虫の好きな樹液
発酵が進んでいないササラの樹液
ヤナギ ハンノキ シラカバ ブナの若木
完全な夜行性ではない、森林限界に近いところでは昼間に発見できる。
真夏に活動的な種類ではない。標高800m~1000mにいる。涼しくそよそよ風が流れていて体温が保持できそうな日当たりの絶妙な所にいる、深夜に活動していると聞いたこともあるが、いる場所が特定できていないと、夜の発見は不可能だ。繊細な虫で白馬村でも妖精の様な存在だ。今まで標高が800m後半のところで発見している事が多い。この虫はうちのヤマニーカワニーのクワガタカブトムシ採集ガイドサービスで行く場所では発見されません。過去2度偶然見つけた事はあります。それは偶然でした。
オニクワガタ
時期
6月中~9月半ば 気温が20度~30度
大きさ
♂:約2.0cm~3.0cm
♀:約2.0cm~2.5cm
成虫の好きな樹液
ハンノキ シラカバ
根の水分も吸って過ごす。
夜行性。あまり表だって活動的ではなく、木の根元にいることが多い。特に斜面に生えている樹木で根が半分むき出しのところで見かけることが多い。ほかの甲虫に比べてサイズ感が小さすぎて、見落とすことが多い。このオオクワガタ系の平たい甲虫は発酵した樹液というより若干のミネラルや糖分を含むカエデの樹液(メープルシロップ)の原液のさらっとした樹液を好む傾向にあります。 白馬村の場合5月~6月中旬でも森や林は気温が低いのでオニクワガタを発見することは困難ですが、オニクワガタ限定での昆虫採集も楽しそうでいい。信州には700m以上の高原にシラカバ・ダケカンバといったカバの種類の真っ白な樹木があります。ほかの木を見分けるより樹木の種類が簡単ですので、ある意味初心者でも見つけやすい昆虫かもわかりません。ただしシラカバは暑さに弱く温暖化や酸性雨で樹肌がやられたり、水分が多く含まれた土質では根腐れするなど、気候の変化に弱い樹木なので、どの木の種類もそうだが木を大切にしながら昆虫採集する事は虫取り愛好家としても、絶対に必要なマナーです。
オオクワガタ
時期
7月前半~9月前半
大きさ
♂:約4.5cm~6.5cm ♀:約3.5cm~5.5cm 3年
成虫の好きな樹液
オオヤマザクラ
樹液や水分も補給するが、木の洞や割れ目を棲み家として、落ちてきた虫や腐食したものから栄養分を吸収する。
標高700m~900m
白馬村で発見したのは合計でもこの17年で10匹ほどで、温度帯が低いのでオオクワガタのベストコンディションで無い地域だと考えられる。
あまり棲み家からの移動をしない虫なので、通常のクワガタカブトムシ採集ガイドサービスの採集中に発見することはまずない。
今まで発見した時は8割の確率で新月の晩9時ごろでした。その時は棲み家から移動するのでしょう。白馬村の場合ブナ林の近くで発見される事もたまにあるが、そうは見つからない。ロマンのある虫だ。
ルリボシカミキリ
時期
7月中~8月前半
気温 20度~25度
大きさ
♂:約4.0cm~6.0cm
♀:約4.0cm~6.0cm
ひと夏
標高750m~850m
食性
樹や葉についた水分を吸う。くるみの木の樹液を吸っていたことも何度か見た事がある。落ちた果実にアつある事もある。このルリボシカミキリは倒木や薪積みの隙間などに住みます。生きた木にをかんだりすることはありません。ですがカミキリは産卵や隠れ家を作るのに木をかんで穴を作ったりするのでその削りかすの成分を栄養としているというような雑食性であるといった見解が専門書で書かれている。ルリボシといった名前の通り発光したブルーで他の昆虫には見られない独特な雰囲気がある。
絶滅危惧II類(VU):絶滅の危険が増大している種に指定されています。日本全国で減りつつある昆虫です。保護しましょう。
ギフチョウ(絶滅危惧種Ⅱ類) ヒメギフチョウ(準絶滅危惧)
時期
4月後半~5月中
気温
20度前後
標高
750m~850m
生態
絶滅危惧種に指定されているというところは必ず知っていただきたい蝶の種類。白馬村は ギフチョウとヒメギフチョウが両方とも分布する日本でも珍しい場所です。カタクリ・ショウジョバカマ・スミレ・ハルリンドウなどの低い青紫の花に集まる。ツユクサの葉に産卵することが多い。氷河期を乗り越えて今も存在する蝶は。図鑑などでも最初に紹介されていたり、表紙にでている日本を代表する昆虫の一つ。もちろん捕獲はしませんが、飛ぶのが早どこに着地したか見落とすような、素早い動きの蝶である。
白馬村ではオリンピックの開催地となった時にギフチョウやほかの保護蝶の生育場所を開発したことによって、ある一定数は減っている。白馬村は自然を題材にした観光地として、文化や建築物よりも大切な自然を守る事で十分な観光資源になる事を見失っていると感じる。
この写真のギフチョウは庭に飛んできました。この写真はヒメギフチョウではありません。違いわるかな~。